稼ぐ不動産投資家になるために宅建士の資格は必要か

不動産系記事

不動産コンサルタントの高野です。

不動産に関する資格というのはたくさんありますが、中でもとりわけ知名度の高い資格に「宅建士」があります。

先日、不動産投資を始めようか悩んでいるお客様から「宅建って取っておいた方がいいの?」と質問されました。このような質問って割と定期的にいただきます。

確かに不動産関連では宅建士ってとても有名な資格だから、これから不動産投資をしようとする人は取るべきか迷いますよね。

ということで、今回は不動産投資と宅建士について考えてみました。個人的な見解も多いのですがいち不動産コンサルタントの意見として不動産投資家さんの参考になれば幸いです。

そもそも宅建士ってなんだろう

宅建士というのは、正式名称「宅地建物取引士」という資格です。「宅地=土地」と「建物」を取引できる専門職、というと少しイメージがつきやすいでしょうか。

不動産業界では登竜門的な資格で、持っていても別に普通、わざわざ言うまでもないという資格です。

ではそもそも宅建士とはどんな資格なのか、まずはそこから解説していきます。

宅建士の試験内容

宅建士は「宅地建物取引士」という資格で、国土交通省管轄の国家資格です。

試験は年に1度だけ、ワンチャンスです。なので年一の試験をパスするというのが最初のハードルですね。ちなみに、受験するのに年齢や職業の制限はないので、何歳でもどんな職業の人でも受験できます。職歴や学歴も関係ないので学生や子供、高齢者の方が受けてたりしますね。

合格率は15~18%と言われています。つまり、10人受けて1~2人が合格できる資格という計算になるので、「誰でも受かるぞ!」という試験ではないことが分かります。

不動産投資家が宅建士を取得するメリット

宅建士に合格するためにはそこそこの試験勉強が必要です。では、時間と労力を使ってまで合格するメリットとはなんでしょうか。

宅建士を取得することで得られるメリットは色々ありますが、最大のメリットは「不動産業界の転職に圧倒的に有利になる」「不動産や建築の基礎的な知識がつく」この2点だと思います。

宅地建物取引業法(宅建業法)において、不動産会社は5人に1人以上の割合で宅建士を設置しなくてはいけないと定められています。もし宅建士の人数が不足したら、不動産業者は2週間以内に新たに宅建士を補充しなくてはなりません。不動産業界は意外と宅建士を持っていない人が多いので、宅建士保持者は転職時に優遇されるので非常に有利です。

知識の幅が広が広がる点も大きなメリットです。宅建士の試験は「民法、宅建業法、建築基準法、税法」などが出題されます。それぞれ深掘りはしませんが、表面的なことは学べます。そうすると、不動産から建築、法律から税金関係の知識が幅広く学べることになります。

全くの初学者でも宅建士に合格する頃には全体的な知識が身についていることでしょう。このような知識は不動産に関わる仕事をしなくても、生きていく上で必要な内容なので、勉強して損は全くありません。

不動産投資家が宅建士を取得するデメリット

宅建士を取得することのデメリットは基本的にありません。知識も身につき、転職時にも有利になるので、時間とやる気がある人はぜひ挑戦してほしい資格の1つです。

ただし、それなりに難関資格ではあるので合格するためにはそこそこの時間が必要です。それまで費やしていた趣味や遊びの時間を多少制限する必要があるのはデメリットと言えるかもしれません。

また、試験勉強は独学と専門学校に行くケースがあります。効率よく短期間で合格したい、という人は専門学校を選択するのも得策ですが、通信でも通学でも数万円から数十万円のお金がかかる点には注意が必要です。

不動産投資家に必要な要素や条件

不動産投資家とはいうまでも不動産に投資をする人です。では不動産投資家になり、そして稼いでいくためには具体的にどのようなスキルやノウハウが必要なのでしょうか。ここでは不動産投資家に必要な「資金」「行動力・判断力」「不動産・建築に関する知識」という要素を解説します。

資金的な要件

まず不動産投資家になるための絶対条件とも言えるのが、「資金」の要件です。物件を購入する資金がないと不動産に投資ができません。

不動産は高額なので融資を受けて購入するのが一般的です。その場合でも融資は一部で、ある程度の自己資金は必要です。自己資金が2割必要な場合、1億円の物件なら2,000万円です。この資金がないと物件を購入することはできません。それに、金融機関から融資を受けるにあたって、「どのくらいの資産を持っているか」という点も評価対象になります。

やはり自己資金が豊富な人の方が金融機関としては安心なので、融資も受けやすくなります。不動産投資家になるためには、資金の要件が重要になります。

行動力と判断力

稼いでいる不動産投資家の多くが、高い行動力と判断力を身につけています。優秀な投資家は、「いい物件だ!」と思ったらすぐ見にいくことがほとんどです。いい物件を紹介してもらったり、融資条件を有利にするために不動産会社や金融機関の開拓は必須ですが、稼ぐ投資家はこの行動に費やす努力を惜しみません。皆さん本当にフットワークが軽く、すぐに物件を見に行ったり、不動産会社や金融機関にもどんどん飛び込んでいきます。

そして、行動力とともに必要なのが「判断力」です。物件を購入しようか迷っているとき、一瞬の判断の遅れで、他の投資家に物件を取られることは少なくありません。購入時だけでなく運用期間中もそうです。何か物件にトラブルが起きた際、パニックにならずに冷静に、その瞬間で最適な判断を下せるかどうかも投資家にとっては重要なスキルです。購入時、運用中、売却時など様々な決断を迫られますが、そこで素早く冷静に判断できるかが不動産投資家として成功するかどうかの分かれ道、と言っても過言ではないでしょう。

不動産や建物に関する知識

不動産投資は不動産に投資をするのですから、最低限不動産の知識はあった方が良いでしょう。ただし、個人的にはそこまで専門的な知識は必要ないと思っています。よく不動産投資に興味があるからといって、不動産や建築についてものすごく勉強し、下手したらプロより詳しくなっている人をたまに見ますが、そのような人たちは大体いい物件を買ってません。それどころか勉強ばっかりして結局1物件も買えていないことすらよくあります。

そもそも日本には宅地建物取引業法という法律があって、不動産会社は不動産の仲介をする際に買主に対して「重要事項の説明」をすることが義務付けられています。この重要事項説明書に不動産や建築についての詳細情報が書いてあるので、不動産業者から説明を受ければそれで十分です。

それに、不動産の知識は物件探しを重ねながら自然と身につきます。ですので最小限の知識があれば全く問題ありません。

結論:宅建士は不要だった。でも取っておくとメリットもある

ここまで不動産投資家になるために必要なこと、そして稼げる不動産投資になるために「宅建士」は必要なのか?という点について解説してきました。

結論、稼ぐ不動産投資家になるために宅建士は必要ない

不動産投資家にとって最低限の不動産知識は必要です。でもそれ以上に必要なのは、いい物件を見つけること、そして物件を買える状況になっておくこと、この2点です。

いい物件を見つけるためには、力のある不動産会社と知り合っておくのが重要です。そして、「この物件はいい!」と思ったらすぐに見にいくような行動力も必要です。さらに、本当にいい物件に出会ったらすぐ購入できるように資金を用意しておくのは必須です。

大事なのは資金、行動力と判断力、そして最低限の不動産知識です。不動産知識も宅建試験の内容が全て実務で役立つわけではないので、物件を探しながら知識を養っていくのが理想的です。

持っておくメリット。不動産業も開業できる

宅建士は不動産投資家にとって必須資格ではありません。感覚値ですが、私のお客様、知り合いの不動産投資家の中でも宅建士を持っているのは2割くらいです。

でも、「じゃぁ宅建士をとっても全く無意味か」と言われると、必ずしもそうとも言い切れません。

不動産投資で規模をどんどん拡大してとにかく稼ぎたい、という人には宅建士の取得は向いてます。

なぜかというと、不動産投資で大きく稼ぐためには「売却益」を出し続けるのが手っ取り早いからです。不動産投資には「運用益」と「売却益」という2種類の利益がありますが、大きく利益を狙えるのは「売却益」です。

安く買って高く売るのは商売の基本ですが、不動産も同じで安く買って高く売れればその差額が利益になります。

ただ、不動産を買って売ってと繰り返していくには宅建業の免許が必要になります。宅建業の開業には宅建士の資格要件がありますので、不動産投資家自ら宅建士を取っておくと、ゆくゆく宅建業の開業がしやすくなります。

とにかく不動産で稼ぎたい、という人は宅建業免許を取得するべきです。そのためには宅建士の資格を取っておいて損はありません。

それに、不動産投資家として多くの物件を見てきた経験を活かして不動産業を立ち上げて、投資家仲間へコンサルをしたり、物件を紹介して仲介手数料を稼いでいる不動産投資家もいますので、新たなビジネスチャンスにもなり得ます。

最終的には脱サラして宅建業の免許もとって、がっつり不動産業界で稼いでいくぞ!という考えのある人は今から宅建士の資格を取っておくのもいいのではないでしょうか。

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