原状回復工事費用が高いと感じる大家さんへ(モノ言う大家になろう)

不動産系記事

不動産コンサルタントの髙野です。

最近、続けて満室経営のテクニックということで、入居付にフォーカスを当てて投稿してきました。

賃貸経営で満室にすることは収入を増やし安定させることですから当然必要です。

ただ、収入を増やすと同時に必要なことがあります。それは「支出を減らす」ということです。

いくら入居状況が良くても、支出が多ければ結局収支は安定しないので事業として優秀とはいえません。ですから、賃貸オーナーの皆様は入居率だけでなく、年間の支出についてもしっかりと把握し、必要があれば修正する必要があります。

ということで、今日は「原状回復工事費用の削減」、つまり支出を下げるための方法について解説していきます。

保有している物件の戸数が多ければ多いほど年間の入退去数は多く、その度に原状回復工事が発生しているはずです。

そしてこの費用は、大家さん自身がしっかり関わって安くしていこうと積極的に努力しないと高くなってしまいます。

どうして原状回復工事が高くなるのか?これは以前このブログ内で簡単にまとめたので、よかったらご覧ください。

※短い文章なので数分で読み終わると思います。

今日はもう少し掘り下げて、どうして原状回復工事をおさえるためにはどうしたらいいのかを解説していきたいと思います。

「入居率はいいんだけど、工事費が高くて手元にお金が残らないなぁ…」というお悩みを抱えている大家さんは是非最後まで目を通していただければと思います。

1、原状回復工事の流れ

まずは、原状回復工事の流れについてです。

この流れについて把握していない大家さんも一定数いますので、簡単に説明します。

管理会社によっては若干順番が前後することもありますが、基本形はこの形と思ってもらってOKです。

①退去立ち会い

入居者と大家さん(実務上は管理会社)が立ち会いをして、物件を引き渡してもらいます。

ここで

管理会社「あ〜ここ壊しちゃいました?」

入居者「そうなんですよ〜こどもが玩具で叩いちゃって…」

みたいなやりとりが行われます。

要するに状況確認です。

入居前の状況と退去時の状況を確認して、破損している場所がないかをチェックします。破損、損傷している箇所については、入居者側に責任があるのか、もしくは自然に発生してしまったものか、について大体の確認をするわけですね。

②工事費用見積り

工事業者による工事費用の見積りです。管理会社の中にリフォーム部門があれば、その下に下請けの職人さんがいて、分離発注で項目ごとに見積もりをとった上で、管理会社が総合的な見積書を作成して大家さんに提出します。

リフォーム部門などない場合は、どこかの工務店やリフォーム業者と管理会社が提携していて、見積もり関係は丸っと委託していることも多いです。

③解約精算の打ち合わせ

見積りに対して、大家さんと入居者のどちらが負担するのかという点について双方に確認していきます。基本的には賃貸借契約書の契約内容通りに負担区分を決めていきます。

ここがいい加減だと、ほとんどを大家さん負担にされて余計な費用を負担させられます。

④解約精算合意

原状回復の内容について大家さんと入居者で合意できたら解約精算は終了です。入居者は預け入れ済みの敷金と負担分を相殺して、足りなければ追加で支払うことになります。残りの分は大家さんが支払う、という形になります。

2、貸主・借主の負担区分について

私の経験上、原状回復工事費用が高いと悩んでいる大家さんのほとんどは、「本来入居者負担の分まで支払わされていることが多い」です。

なぜかというと、管理会社は基本的に入居者ともめたくないのです。入居者としてはできるだけお金を払わず退去したいです。

中立的に交渉してくれる管理会社ならいいのですが、そうでないと、入居者ともめたくないからと入居者の過失なのに大家さん負担として原状回復を進めようとする業者も多いです。

3、項目の必要性について

項目の必要性というのは「そもそもその工事をする必要があるのかどうか」ということです。

すごく極端な言い方をすると、家賃3万円の1Kのマンションに高級大理石キッチンって不要ですよね?3万円の1Kを否定する気持ちは微塵もなく、「コスパ」という概念からです。

何が言いたいのかというと「次の入居者を決めるために最低限必要な工事」でいいのです。本来は。

それなのに管理会社は色々な内容の項目を追加してきます。なぜか?それが彼らの収益源だからです。別に管理会社が悪いということではなく、重要なのは「入居に必要な工事か見極める力」があればいいのです。

そうすれば、いらない内容はバンバン削ってOKです。要するに決まればいいのですから。

4、費用の妥当性について

費用の妥当性というのは、コストが適正かどうかです。管理会社は下請けの業者や職人が工事を行なって一旦請求を受けますが、支払いをするのは大家さんです。

下請けからの請求と、大家さんへの請求、この差額が管理会社の利益です。大家さんにいくらで請求するかは管理会社の采配次第です。物言わない大家さんには随分利益を乗せた請求をしている管理会社さんは割と多いです。

重要なのは、一つ一つの項目を確認して、「量と単価が妥当かどうか」をチェックすることです。

ここについては以前の記事で簡単にポイントをまとめたので、合わせてそちらもご覧ください。

補足:自分で対応するのが難しければプロに依頼しよう

今日は原状回復工事費が高いと感じる大家さんに向けて、改善方法を解説してきました。

重要なのは、「貸主、借主の負担区分」「項目の必要性」そして「費用の妥当性」です。この3点をしっかりおさえられれば原状回復工事費用が高くなることは基本的には考えられません。

ただ、もしも

「貸主、借主の負担区分…分からないなぁ」

「項目の必要性…判断できないよ」

「費用の妥当性…いくらが相場か分からない」

という大家さんは、迷わずプロの専門家に任せた方がいいと思います。

結局、プロに任せると費用はかかりますが、年間数十万円、もしくは数百万円削減できる可能性が高いです。それに修繕費だけでなく空室問題や金利についてなど、賃貸経営全般の相談に乗ってもらえるので、賃貸経営全体の改善も期待できます。

私もこのようなサポート業務を行なっていますので、「どうしよう…」と思った方はこちらからお気軽にご相談ください。

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