不動産コンサルタントの高野です。
ここ最近、と言ってもコロナ禍くらいからだと思いますが、不動産営業マンの働き方が大きく変わってきている気がします。不動産会社というと、皆さんはどんな会社を想像しますか?駅近くにある不動産屋さんでしょうか。それともビジネス街にそびえたつ高層ビルで働くバリバリのビジネスマンでしょうか。
今までの不動産営業マンというと、上記のどちらかのスタイルが一般的だったと思います。街の不動産屋さんは火曜日や水曜日を定休日として、オフィス街の不動産業者はどちらかというとBtoBの仕事が多くて、土日がお休み、そんな印象です。いずれにしても共通していることは「正社員として勤務して毎日出勤する」ということです。
ところが最近はそういったスタイルが崩れつつあるように思います。むしろ肌感覚で言うと崩れ始めてるようにも感じます。
今までの、朝は早くから出勤して、日中はひたすら営業をして、夜は残業で終電間際に帰る、みたいなスタイルはだいぶ減ってきています。
会社との契約形態も大きく変わってきてます。これまでは「雇用契約」が当たり前でした。雇う側と雇われる側に分かれ、雇う側の会社が設定した売上ノルマ、目標を雇われる側の従業員がひたすら追いかける、そして達成しない場合はひたすら詰められる、というのが一般的でした。ところが、最近は雇用契約ではなく、不動産会社と「業務委託契約」を締結して自分の得意なジャンルで会社に業務貢献して報酬を得るというスタイルが増えてきました。
たとえば、営業が得意で幅広い人脈を持ってる人は、フリーのエージェントのような形で、物件を借りたい人や買いたい人を見つけてきて、契約の際は契約先の不動産会社の免許を使って契約する、というスタイルです。このスタイルだと、雇用しないので会社は定期的な報酬が発生せず、保険料などの支払いも不要です。個人側も会社とは業務委託契約なのである意味対等で、目標があって未達だからどうこう言われることもありません。ましてや出社義務もありません。自分の好きな環境で働いて、効率よく仕事とプライベートを回すことができます。
営業だけでなく、バックオフィス業務、たとえば不動産の調査や契約書作成などの業務を専門で引き受けている個人の方もいます。案件があった際に対応すれば良いので、こちらも仕事とプライベートを効率よく過ごせます。会社としても案件が発生した際にのみ依頼すれば良いので、社員教育の手間も省けて、スキルの高い人にスポットで業務を受けてもらえるので、お互いにwinwinな関係ということになります。
実際に私の知り合いも、社員をほとんど雇わずほとんど業務委託で回している社長もいます。反対に、複数の会社に業務委託で属して、案件ごとに業務委託先と仕事をしているフリーランスの知り合いもいます。
業務委託契約は、会社と個人に双方にメリットのある契約形態なので、今後は主流になってくるんじゃないかなと思っています。
仮に業務委託契約が主流になった時代では、会社としては「いかに業務委託の人に選んでもらえる会社になるか」そして、受託する側の個人としては「いかに選んでもらえるフリーランスになるか」が重要になってきます。
会社としては、能力の高いフリーランスの人に選んでもらうためには、「この会社と契約するメリット」がないといけません。たとえばネームバリューなのか、幅広い知識が学べる制度があるのか、定期的に顧客を送客できる仕組みが整っているのか、などです。
反対に、個人の人としては、報酬や集客体制など、魅力的な条件が揃っている会社に選んでもらうためには、やはり個人のスキルを磨き続けるしかないのではないかと思います。あとはスキルを磨きすぎる人に陥りがちなのが「職人」になってしまうことです。スキルや知識は高いものの、自分の考えが強すぎて会社が求めているものがキャッチアップできない、要するに柔軟性がないということです。このような人を私は数人知ってますが、知識はとてつもないのになかなか実績が上がらない人ばかりです。そうならないように、スキルを磨きながらも、業務委託ですが会社には属するわけですから、会社に適応する柔軟性というのも鍛えていく必要があるのかなと感じています。
私もこれからの不動産業界の大きな変化に対応できるよう、会社としても個人としても必要なスキルを磨き続けていきたいと思っています。
それでは本日はここまで。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など