不動産投資家さんの中には不動産業者に騙されて痛い目にあった、という経験のある人がいます。
確かに不動産業界には悪い人がいますし、だまされた経験がある人の相談にも何度も乗ってきました。
なぜ不動産業者にだまされてしまうのでしょうか?
これまでのたくさんの被害者(だまされた経験のある人)と会ってきた経験をふまえ、だまされやすい人の特徴とだまされないための方法を書いてみたいと思います。
だまされる状況とは結局どういうこと?
そもそもだました、だまされたというのは非常にあいまいな表現です。
それにだまされると言っても大小のレベルがありますよね。
どんな状況がだまされているのか、まずはここを整理してみましょう。
詐欺に近いレベルのだまされ方(嘘)
たとえば、「現状満室です!」とか言ってるのに実際は空室だらけ、とかそんなのはもう完全に詐欺ですよね。
実際物件に行ってみると全部屋カーテンがかかってたので満室だと思ってたのに、実は不動産会社が売主に言って空室部屋にカーテンをつけさせていた、これは実際にあった事例です。
これはもう嘘をついていて、明らかに騙そうとしているので完全に詐欺といえますよね。
それから、「この物件は再開発の予定があるから、この先きっと値段が上がりますよ!」とか言って、実は全然上がらない、それどころか開発も起きない、これもよくあるケースです。
こんな風に買わせたいがために事実と異なること(嘘)を言って購入させるケースは、もっともひどいレベルだと思います。
でも不動産業界には実際よくある話、特段珍しくもないのが現実です。残念ながら。
想定と異なる状況になってしまう事態
個人的にはこれも詐欺に近いと思いますが、一般的には詐欺とまでは言われないレベル。
あくまでも事実を伝えているけれど、誤解を招くような説明をされるケース。
たとえば「現状満室なので今後も安定稼働が見込めますよ。」確かに現状満室かもしれないですけど、だからと言って今後も安定稼働する保証なんて1ミリもないですよね。
「今後もずっと満室だ!」と喜んで買ってみたけど、実際はしばらくしてポツポツ空室が出て、満室にはなかなか戻らない、といった感じですね。
これもよくあります。
我々プロからすれば、賃貸経営上のリスクってすぐに分かります。今は満室だけど、たまたま満室なだけ。空いたら決めるの大変だろうな〜なんて物件はゴロゴロあります。
それを分かっていながら、大丈夫、安心、などという言葉で安心させて購入に持っていくケースですね。詐欺とまでは言わないんでしょうけど、目先の売上のためにお客さんにとって不利益なことを言うのはちょっとどうなんだろう、、と感じずにはいられません。
だまされるとどうなるの?
だまされたレベルによりますけど、私がみてきた中で一番最悪の事態(経済的な面で)は自己破産でした。
返済ができなくなって、他の支払いも滞って、結果バンザイしてしまった人もいます。
経済的な最悪レベルは自己破産ですが、精神的苦痛から自分で自分を…という人も過去に見たことがあります。今でもその方の遺族は、だまして不動産を買わせた不動産会社とその営業マンを一生許さないと言っています。当然だと思います。
やはり不動産は金額が大きいので、損失を出してしまうと非常にダメージが大きいのです。
騙されやすい人の特徴
だまされやすい人もいれば、だまされない人もいます。同じ営業をされているのに、契約する人としない人がいます。
どのような人がだまされやすいのか、これも私の経験からお伝えしていきます。
もし次の内容に当てはまる人は、だまされやすい素質が高いと思うので、今後十分注意してください。
人が良すぎる(人を疑わない)
人が良すぎる、こういった性格の人はだまされやすいです。基本的に疑うということをしないので、メリットばかり伝えられるとそのまま信じてしまうのです。
なんでもそうですが、メリットの裏側には必ずデメリットってあるじゃないですか。
リターンの裏には必ずリスクもあるんですよね。当たり前ですが。
そういった考えがなく、人を信じて疑わない人は不動産業者の言うことをそのまま鵜呑みにしてしまうので、非常にだまされやすいタイプです。
知識がない(情報弱者)
不動産投資で成功するには、実は非常に多くの知識が必要です。
そもそも不動産投資って、土地、建物、賃貸経営、金利、不動産取引など色々な要素があって、その要素ごとに注意点やリスクがあります。その辺りの情報をしっかり持っていないと、簡単に不動産業者にだまされてしまいます。
ですから、不動産投資をする際は自分自身しっかり勉強して知識を身につけておくことが本当に重要です。
押しに弱い
不動産業者って基本的には営業力が強めな人が多いです。いわゆるゴリゴリ系の営業、強気の営業マンですね。気が小さかったり、押しに弱い人って「断るのが苦手」な傾向があります。
強くおされると「NO」が言えないんですね。そうすると、購入に少し疑問点があったり、本当は買いたくない物件でも、おしに負けて買ってしまう、という事態が発生します。
忙しすぎる
不動産投資は規模が大きくなればなるほど、投資できる人の属性は限られてきます。
たとえば、1,000万円くらいのワンルーム区分投資と、10億の一棟不動産では、投資家の属性(金融資産、年収)も全く違います。
年収が多い人や金融資産をたくさん持ってる人って、本業でバリバリ稼いでいる人が多いです。例えば、上場企業の役員、医者、士業など、そういった方達ってとにかくめちゃくちゃ忙しいんですよね。
そうすると、物件について詳しく確認する時間がないという話になってきます。そのため物件のことをよく分からないまま購入してしまい、結果大変な事態に陥るという方が多くいます。
物件をちゃんと見ない(人まかせ)
不動産投資は言うまでもなく不動産に投資をするわけです。そのため、どのような不動産なのか?と判断するための情報は重要です。
もちろん物件概要書に書いてある情報も重要ですが、実際に「目で見る」というのがかなり重要です。
この「目で見る」という作業をやらずに省略してしまう人が意外と多いです。
建物は古くなるので、修繕状況や劣化具合を確かめる必要があります。それだけでなく、実際に現地に行ってみると、ゴミが散乱していたり、残地物がそのままになっている、といったケースがあります。こういった場合だと、入居者の属性が悪い可能性を疑えます。入居者属性までは物件概要書では分かりませんよね。だからこそ現地に行く必要があるのです。
それから、周辺も実際に確認するのが重要です。
騙されないようにする方法
だまされてる人がいる中で、自分の意志で考えて不動産投資でちゃんと成功をおさめている人もいます。では、どうやったらだまされないで不動産投資をすすめていくことができるのでしょうか。
疑ってかかる
不動産業者はお客さんに物件を売ってもらったり、買ってもらったりするのが仕事です。
なぜなら、取引の成約により発生する仲介手数料が彼らの売上だからです。購入をすすめてくる、または売却をすすめてくるのは売上のためです。
物件を買ってその後運用してくのは購入者自身なので、ちゃんと自分の目で確かめて情報も確認してください。
どんなにいいことを言ってきても鵜呑みにしすぎるのは禁止、あくまでも情報の一つとして判断しましょう。
断る勇気を持とう
不動産業者の押しの強さに負けて物件を買ってしまうことがないように、どんなときでも断る勇気を持ちましょう。
これまで数多くの投資家さんと関わってきて、稼いでいる人、成功している人は「断る力」がとても強いです。どんなにおすすめされても、自分が納得できなければ買いません。要は人の流されないのです。
おしに弱い、断るのが苦手、という人は断る勇気を養うべきでしょう。
自分の目と足で物件を確認しよう
不動産投資では絶対不可欠(だと私は思ってる)なのが、やはり物件を自分の目で見て確認するという行動です。
資料から分かるのはあくまでも情報の一部分だけです。物件だけでなく、物件から最寄駅まで歩く。色々な時間帯に行ってみる、などの工夫も必要です。
たとえば、駅から徒歩5分の物件でも、実は高低差が激しくて入居がつきにくい、なんて物件も珍しくありません。
もしくは駅から物件までが街灯が少なくて、女性の入居者から選ばれにくい、、といったことも、実際に行ってみないとわからないことです。
不動産投資をするときは必ず物件現地に行って、自分の目で見て確認する、これは最低ラインですが必須ですので必ず実施しましょう。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など