不動産コンサルタントの高野です。
先週出張で静岡県沼津市へ行ってきました。
弊社顧客が沼津に物件を保有していて、色々あって管理会社を変更することになって、候補先管理会社との面談に同行してきました。
不動産投資、賃貸経営で管理会社の存在って本当に大きくて、特に期中運用中(保有期間中)は管理会社次第で事業の成功可否が決まると言っても過言じゃないと思います。
それくらい管理会社選びは超重要です。
今日は管理会社を選ぶポイントをまとめてみたいと思います。
そもそも管理会社って変更できるの?
驚くべきことに、時々お客さんから「え?管理会社って変更できるの?」と言われます。
どうして変更できないと思うのかは分かりませんが、律儀な人ほどそう言う傾向があります。
不動産管理業界も非常に競争が激しくて、顧客の取り合いが日々繰り広げられてます。
なので、気を抜くとすぐに管理チェンジされる、というのが業界の常識なのですが、お客さまの中には「よっぽどのことがないと変えちゃダメなもの」と思っている方が一定数いるみたいです。
本当に神様みたいな方です。
結論:管理変更は可能です。でも注意が必要
早速結論ですが、もちろん管理会社はいとも簡単に変えられます。本当に簡単に。
そもそもオーナー様と管理会社は「管理委託契約」という契約関係で結ばれています。契約ですから、普通に考えて解除することはできます。なので契約を解除して他の不動産会社と契約することだって当然できるわけです。
ただし、注意点がいくつかあります。
まずは契約解除の通知期間、これがどの程度か確認しましょう。管理を変えるといっても実務的には色々な引き継ぎがあって、入居者さんへの通知も必要。ですから、切り替えるまでにある程度の猶予期間を設けているのが一般的です。だいたい3ヶ月前後に設定してある管理契約書が多い気がします。
なので、変えたいと思っても1〜2ヶ月で急に切り替えられない場合があるので注意してください。
管理会社との契約がどうなっているか管理契約書をチェック
解除通知期間だけでなく、管理解約時に違約金が発生するケースがあります。これも注意が必要。
なので、管理変更する前に、まずは一度管理会社と締結している「管理委託契約書」を確認してください。そこに契約内容が全部記載されています。
管理委託契約書をなくしてしまったという方、大丈夫です。
管理会社に連絡して「写しをください」その一言を伝えるだけでOK。
きっと多くの管理会社は「まさか管理を変更する気なんじゃ…」と焦って、急に対応が良くなったり、社長さんからご機嫌伺いの連絡がくることもあるでしょう。笑
変えずに改善できるのが本当は一番いい
ここまで管理会社変更の話ばかりしてましたが、一番いいのは実は管理会社を変えず現状のまま事態を改善することです。
空室が多い、修繕費が高い、担当者の対応が悪い、など管理会社を変えたくなる理由は色々あると思います。でも、管理会社を変えるのはメリットだけではありません。
入居者さんにとっては、管理会社の変更というのはちょっとした手間でありストレスにもなり得ます。家賃の支払い先、まだ解決していない修繕トラブルの引き継ぎなど、色々と影響が出てきます。
特に、オーナーにはいい顔するけど入居者には冷たい、そんな管理会社を選んでしまうと「前の管理会社は良かったのに…今の管理会社は気に入らない」となって退去されてしまうことだってあり得ます。
それに何だかんだ管理会社が建物のことを一番よく知ってます。募集する際の注意点やコツもそうだし、建物の点検関係だって管理会社が把握しているので、できればあまり頻繁に変えない方がいいのです。
なので一番いいのは、いきなり管理会社変更という手段ではなく、まずは今の問題を解決できないかを管理会社と協議することです。
いい管理会社を見極めるためのポイント
管理会社は日本に星の数ほどあります。会社によって特徴も異なり、得意不得意も異なります。「管理は得意だけど、入居募集は苦手」だったり、反対に「入居募集には強いけど、管理の経験はほぼない」といったこともあります。
ちゃんと管理会社を選ばないと、せっかく労力を費やして管理会社変更をしても逆効果になることだってあります。
いい管理会社を見極めるポイントをお伝えしていきます。
電話応対、意外と大事
私が管理会社を見る際に特に気にしているポイントです。
管理会社に連絡する際には、どうのような電話対応をするのかを確認してください。
なぜかというと、電話対応はその会社の顔、そのものだからです。
入居者さんからもかかってくる電話です。その電話対応がいい加減だったり、口の聞き方がなっていないようだと、それがダイレクトに入居募集の成果や、入居中満足度に反映されてしまいます。
なので、一番おすすめしたいのは、一度お客さんのふりをして電話してみる。これです。
その時にいい加減な対応、嫌な対応をされたとしたら、それは入居者さんにもそう感じられてるってことです。
「なんかこの不動産屋感じ悪いな〜、他で探そ…」と思われるような対応をしてたら最悪ですよね。
実際に管理している物件について確認
管理戸数どのくらいなのか?意外と大事です。
少ししか管理してない会社だとまだまだ管理ノウハウがない可能性があります。
基本的に営業の人はいいことを言うので、自社の強みとかなんとかを色々言ってくるのですが、「結局、おたくは何戸管理してんの?」っていう具体的な数字が重要です。
管理担当者の数と管理戸数(多けりゃいいってもんじゃない)
さきほど管理戸数の確認が重要だ!と言いましたが、かと言って多すぎればいいってもんじゃないんです。
よく管理戸数が多すぎて手が回ってない、という事態になってることがあります。管理会社によっては、管理戸数は多いけど、管理担当者の数が少ない、つまり一人当たりの担当管理戸数が多すぎる事態になってるケースが多々あります。
そうなると丁寧な管理は期待できず、放っておかれたりすることもありますので、その辺りも重要ですね。
一人当たりの管理戸数が500を超えてたりすると結構危ないんじゃないかな、とこれまでの経験からは感じます。
管理担当と入居募集担当者が同一でないか
賃貸仲介と賃貸管理って別物です。
賃貸仲介はいわゆる「客付」「お部屋探しの営業マン」です。つまり、部屋を探している入居者さんに対して第一線で営業活動を行なう人のことです。
対して賃貸管理というのは入居後の管理を主に担当する人のポジションです。
これが混合して、賃貸の募集もするし管理業務もする、という「何でも屋」の部署になってる管理会社は管理が割と雑、というか中途半端な感じになってるイメージがあります。
ちゃんと、「入居募集はこの担当」「建物管理はこの担当」といった感じで、同じ賃貸の部署でも役割がきちっと分かれている方がオーナーさんにとっては安心ではないかなと感じます。
まとめ
管理会社を変えるのって結構労力が必要です。
時間も労力も費やして、やっとの思いで変更した管理会社が全然ダメな会社だったら目も当てられません。
賃貸経営にとって管理会社選択は本当に重要な決断なので、ぜひちゃんと確認して最高のパートナーを見つけてください。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など