【保存版】今日からできる!不動産業を開業する流れを徹底解説します。

不動産系記事

不動産コンサルタントの髙野です。

不動産業を開業したい。でも、そもそも不動産業の開業って何すればいいの?と疑問を持っている方。

この記事では、不動産業で開業を検討している方を対象に、実際の不動産業開業の流れと注意点について、現役で不動産会社を経営している私が分かりやすく解説します。この記事を読み終わったその瞬間から、開業準備に取り掛かれるはずです。

不動産業開業の流れ

不動産業は実際に営業を開始するまでにやることが盛りだくさん。

いきなり不動産業を始めることはできず、免許の申請や営業保証金の納付等、細かな作業が存在します。

ここでは不動産業開業の全体の流れとスケジュール感、それから最低限必要になる物と資金について解説していきます。

全体のスケジュール感と流れを理解

不動産業を開業するにあたり、絶対に必要なものは何か?それはズバリ「宅地建物取引業(以下、宅建業)の免許」です。個人でも法人でも不動産業を営むためには宅建業の免許がないと始まりません。免許を申請してから取得までの期間は大体2~3ヶ月程度です。その間は不動産業の営業をしてはいけません。無免許営業で罰せられてしまいます。

一般的には免許取得までの期間を使って、営業に必要な備品の準備や資金繰り、それから挨拶回りなどをします。

開業に必要な物

開業にあたり必ず必要になるのは「事務所」です。事務所がないと宅建業の免許を取得できません。ちなみに、バーチャルオフィスやシェアオフィスのように、独立した空間のない事務所で免許の取得はできません。要件は管轄する都道府県によって微妙に変わりますが、少なくても接客スペースや執務スペースが現実的に存在し、他社と共有ではなく独立使用できるタイプでないといけません。

不動産業はかなり深い部分の個人情報を取り扱うので当然と言えば当然ですよね。ちなみに、事務所は賃貸でも所有不動産でもどちらでもOKです。事務所の他に電話番号も免許取得には必須です。携帯電話だけではダメで、固定電話が必要です。ちなみに、宅建業の申請の際に事務所の写真を添付するのですが、細かいところまでチェックされます。私の場合は「固定電話がないように見えますがどこですか?」と厳しいツッコミを受けました。

余談ですが、宅建業以外にも不動産関連の許認可は数多くあり、携帯電話での登録はNGとしている許認可がほとんどです。電話やFAXの開通工事は時間がかかるので、早めに手続きするのがおすすめです。

また、免許の申請には直接関係ありませんが、実際の業務では最低限「パソコン」「携帯電話」「プリンタ」は必要になります。

開業に必要な資金

不動産業を開業するにはある程度まとまった資金が必要です。まず、開業するためには各種団体への加入が必要で、加入や年会費で60~90万円程度を見込みましょう。

また、営業保証金として1,000万円も必要です。「1,000万円!?払えない!」と思った方もいるかもしれませんが、これは大丈夫です。不動産保証協会に加入すれば、営業保証金ではなく、「弁済業務保証金分担金」を支払わればよく、その場合は60万円(本店の場合)で済みます。

あまりないケースだと思いますが、最初から2店舗同時に出店する場合は、本店60万円に加えて1支店につき30万円必要になります。以上合計すると、不動産業の開業事態に必要な資金は120~150万円程度です。

加入団体や保証協会によって金額は前後しますし、あくまでも最低限の開業資金ですので、営業開始後の運転資金は別途必要になりますのでご注意ください。

不動産業開業に向けた申請方法パターン

不動産業の開業には免許申請が必須です。免許がないと不動産の営業自体できないからです。では、免許はどこに申請すればいいのか、申請先や注意点を解説します。

申請先は2パターン

不動産業の免許を発行する機関は2つあり、都道府県知事か国土交通大臣のどちらかです。

1つの都道府県だけで営業する場合は知事の免許が必要です。2つ以上の都道府県にまたがって営業する場合は国土交通大臣の免許となります。たとえば、東京都新宿区でのみ不動産業をやる行う場合は東京都知事、さらに渋谷区でも事務所を設置する場合、この場合も東京都知事です。ただ、渋谷区ではなく横浜市に事務所を設置する場合は、東京都と神奈川県、2つ以上の都道府県をまたがって営業することになるので、国土交通大臣の免許が必要になります。

知事へ申請

知事へ申請するケースは、1つの都道府県で不動産業を営む場合です。たとえば、東京都で1店舗だけ出店する場合は、東京都知事へ免許の申請をします。将来的にはどんどん他県に進出していきたい!という場合でも、開業時に1つの都道府県でのみ営業をスタートするのであれば、知事の免許でOKです。他県へ出店する際にあらためて国土交通大臣の免許を取得することになります。

なお、それぞれの行政における申請窓口については、東京であれば「東京都住宅政策本部」が窓口となりますが、申請先の名称は都道府県によって異なりますので、実際に申請する際は開業予定地の都道府県に問い合わせましょう。

国土交通大臣へ申請

たとえば、東京都以外にも神奈川県にも出店しようとすると、県をまたがることになるので、大臣免許が必要となります。ポイントは県をまたぐかどうかです。新たに事務所を設置するのが同じ都道府県内であれば、何店舗、何十店舗作っても、同じ知事の免許でOKということになります。

申請書の提出先は「主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局長等」で、詳細は国土交通省のホームページで確認できますのでチェックしてみましょう。

不動産業開業申請手続きは自分でもできる?

不動産業(宅建業)の開業手続きは自分一人でできます。準備する書類の数自体は決して少なくないものの、複雑な書類は少なく、決められたものを淡々と用意してくイメージです。ただ、自分で手続きするとどうしても時間がかかるので、自分で全て手続きをした場合と、行政書士に依頼した時の金銭的なコストのバランスをよく考えて決めましょう。

自分で申請する場合の費用

自分で開業申請する場合の費用と内容は下記のようになります。

・役所に支払う法定費用 33,000円

・営業保証金 60万円

※2ヶ所以上に出店する場合は、1拠点ごとに30万円

・保証協会への加入と各団体への加入及び年会費の合計、120~150万円程度

なお、営業保証金ではなく自分で営業保証金を供託することもできます。ただし金額がかなり高額です。本店では1,000万円、支店ごとに500万円必要となります。供託というのは、不動産の取引は高額ですので、万が一顧客に損害を与えてしまった際に消費者が守られるために準備するお金のことです。

専門家へ依頼した場合の費用

行政書士へ依頼した場合は、自分で申請する場合の費用に加えて、行政書士への報酬がプラスされます。費用は行政書士によってまちまちですが、10~15万の予算で考えておけばOKです。

申請手続きは自分で。資金に余力があれば専門家へ依頼を

不動産業の開業手続きは自分で行うことができます。申請手続きの難易度はそこまで高くなく、適切なプロセスを踏めば誰でも手続き可能です。私もこれまで法人設立や、宅建業、そのほか不動産関連の許認可を取得してきましたが、宅建業の申請手続きは誰でもできるレベルだと思います。(世の中、申請しても審査が厳しくて取得できない許認可も多くありますので…。)ただ、時間がかかるのは間違いないです。その時間があったら物件情報を仕入れたり、営業準備を進めることができますので、資金に余裕のある方は、行政書士へ依頼するのも視野に入れましょう。

実際の不動産業の開業申請の流れ

ここからは不動産業を開業するときの実際の流れを具体的に解説していきます。開業手続きのコツは、全体像を把握して順番を間違わずに進めていくことです。

事業構想を考える

不動産業開業手続き以前の話になってしまいますが、まずは事業構想を練りましょう。

不動産業といっても、賃貸と売買、仲介と買取再販と業態が細分化されています。賃貸、売買、管理を全部同時にスタートしようとしようとする方いますが、それはお勧めできません。たとえ不動産業のすべての業務を経験した方でも1つ1つ事業として成立させてから次に進む方が結果的に成功が早いです。まずは不動産業の中でも業態を絞って、自社の強みを生かした集客を徹底的に考えることです。そうでないと、全国で13万以上いる不動産業者にアッという間に埋もれてしまい、結果が出ません。

事務所を設置する

事務所の設置は不動産業開業では必須条件です。

宅建業の申請要件の中でも事務所要件は割と厳しく、要件を満たさない事務所は認められず免許が取得できません。実態のないバーチャルオフィスや、複数人で共同使用するタイプのシェアオフィスやコワーキングスペースでは申請が通りません。レンタルオフィスでは免許を出さない都道府県も多いので、必ず事前確認してください。

事務所の立地や広さをどこにするのか?については、行う業務の内容によって異なるのかなと思います。居住用不動産の賃貸や売買を行う場合は、集客面で駅からの距離は外せないでしょう。お客さんが入りやすいように、建物の外観にも気を使い、内装も工夫する必要があります。

一方、事業用不動産や投資用不動産をメインで取り扱う場合は、駅からの距離をそこまで意識する必要はありません。

会社または個人事業の開業届を提出

不動産業は、法人もしくは個人事業主のどちらでも開業申請可能です。

法人でスタートするなら、法人設立手続きを行います。法人の種類は、株式、合同、合資など複数あります。合同会社で開業する不動産業者も増えてきたように感じますが、認知度で言ったら株式会社が1番です。

新規の顧客を広く集めるスタイルのビジネスを検討しているのであれば、株式会社で設立するのが無難です。法人設立手続きは自分で行うことができますが、約款や登記など複雑な作業も多いので、資金に余裕がある人は司法書士に依頼するのがおすすめです。

宅地建物取引士を準備

不動産業を開業するにあたり、気をつけてほしいのが人的要件です。

不動産業者は、事務所ごとに宅地建物取引士(通称、宅建士)を設置しなくてはなりません。5人に1人の割合で設置する必要があり、社長一人の会社の場合は必ず社長が宅建士を保持していなくてはいけません。

社長が宅建士でなくても社員が資格保有者であれば開業できますが、退職などの理由で宅建士が欠けた場合は、2週間以内に宅建士を補充する必要がありますのでご注意を。できる限り社長が宅建士であることが望ましいでしょう。

宅地建物取引業の申請を行う

宅建業の免許は、都道府県知事か国土交通大臣が発行します。1つの都道府県で営業を行う場合は知事の免許、2つ以上の都道府県にまたがり営業をする場合は国土交通大臣の免許が必要です。まずは、開業予定の都道府県の担当部署から申請書を取り寄せましょう。申請書に必要事項を記入し、必要資料を添付し申請手数料を支払って申請します。申請から免許通知までの期間は1~1ヶ月半程度です。書類に不備や不足があると免許通知も遅くなり、業務の開始も遅くなってしまうので気をつけましょう。

宅建協会へ加入(弁済業務保証金分担金の支払い)

不動産業の開業には宅地建物取引業協会へ加入するのが一般的です。

加入することのメリットは、通常1,000万円かかる営業保証金の供託が免除され、弁済業務保証金分担金60万円にかえることができること、不動産業者間で物件情報をやり取りできる「レインズ」が使用可能になることです。免許の申請開始と同時に宅建協会への加入手続きの準備も始めておくとよいでしょう。

営業開始

宅建業の免許通知があり、営業保証金または弁済業務保証金分担金の納付手続きを終え、知事または国土交通大臣による確認が終わり次第、いよいよ宅地建物取引業の免許が発行となります。免許の通知を受けたら営業保証金の供託を行い、供託物受け入れの記載がされた供託書の写しを添付して、免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届出を行います。これで免許証の交付を受けることになり、いよいよ晴れて営業の開始です。

開業の申請はゴールではなくスタート

ここまで不動産業開業の流れを解説していきました。本記事に書かれている内容を実行することで、誰でもスムーズに不動産業を開業することができます。ただし、不動産業の開業はゴールではなくスタート。そこからどのように売上を確保していくのかを開業と同時に考えていきましょう。

営業戦略を確立する

不動産業には賃貸や売買、仲介や買取再販など、様々な種類がありますが、どの業態でスタートするかは重要です。

不動産業の免許を取ることで、どの業務もできることになります。しかし、開業初期はまずは1つに絞って営業開始することをおすすめします。まずは1分野で実績を残し軌道に乗ってから新たな分野にチャンレンジしてください。

この事業戦略を練るのは非常に重要な作業です。というのも、日本の不動産業者の数はとてつもなく多く、13万社以上です。特に強みもない経験の浅い会社は、独自の強みを生かした営業活動を続けていかないと、すぐに他の会社に埋もれ廃業の危機になってしまうでしょう。

初心者は仲介がおすすめ

不動産業未経験者も経験者もどちらもそうですが、一番最初は仲介業務を中心にやっていくといいと思います。買取再販や不動産開発は仕入れが発生するのでリスクが高くなりがちだからです。また、物件の仕入れには融資や自己資金という要素が不可欠で、自分一人の力では解決できない内容の問題もあります。まずは仲介で件数を積み上げ実績を残し、十分な売上を確保しつつ徐々に買取再販や不動産開発の方に進出していくのが得策といえるでしょう。

まとめ

今回の記事では不動産業を開業する手順や流れを中心に解説してきました。開業手続き自体は自分でもできますが、行政書士に依頼することでより手続きが早くなります。また、大事なのは開業手続きよりも事業で稼ぐための仕組みづくりです。代表者は、1日でも早く営業戦略の立案等に時間を使えるように、今回の記事を参考にスムーズに不動産業開業手続きを進めていってください。

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