不動産コンサルタントの髙野です。
初めてアパートを購入するとき、売買代金や利回りに目が行きがちですが、実は不動産の取得には売買代金以外の諸経費も多く発生します。知らずに契約してあとから「こんなに持ち出しが必要なの?」とならないよう、事前に諸経費のイメージを持っておくことが重要です。
仲介手数料
仲介手数料は物件紹介や条件の交渉など、購入する物件を仲介してくれた不動産会社に支払う費用です。諸費用の中でも特に大きな金額になりがちです。仲介手数料の料率上限は宅地建物取引業法という法律で定められています。
売買金額によって料率上限は異なりますが、売買価格が400万円を超える場合には「売買価格の3%+6万円」が上限となります。仲介手数料は決済時に一括で支払うこともあります。ただ、それは不動産会社によって異なり、「契約時に半分」「決済時に半分」と支払うケースもあります。
手付金
手付金は不動産売買の際に買主が売主に支払うものです。金額は決まってませんが、売買代金の5~10%程度になることが一般的です。最終的には売買代金に充当されるものです。ただし、契約を締結して手付金を支払った後に、買主の自己都合でキャンセルして契約を白紙に戻すときには、「手付金の放棄」が求められます。「本当に契約しても大丈夫か?」としっかり考えて慎重に契約することが重要です。
登記費用
金融機関からお金を借りて不動産を購入する際には、「所有権」と「抵当権」という2つの権利を登記します。登記するだけでも登録免許税という税金がかかり、司法書士に登記を依頼する場合は、司法書士への報酬も発生します。
融資手数料
融資をつかって不動産を購入する際に、金融機関に対して手数料を支払います。融資手数料、住宅ローン手数料という呼び方が一般的です。金額は金融機関によって大きく異なります。利用しようとしている金融機関の手数料が他と比べて高いのか安いのか、事前にチェックしておくと良いでしょう。
火災保険料
アパートに火災等の災害が発生することに備えて、火災保険、地震保険に加入するのが一般的です。お金を借りて不動産を購入し賃貸経営していて、万が一火災が発生し建物が無くなってしまったら、保険無加入だと残りの返済は全て持ち出しで負担しなくてはいけません。それは現実的ではなく、あまりにもリスクが大きすぎるので、必ず火災保険には加入しましょう。
税金(印紙税、不動産取得税)
アパートを購入する際に気にする税金は主に印紙税と不動産取得税です。印紙税は、不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書といった契約書に貼り付ける形で納める税金です。売買契約書の場合、売買代金に応じて印紙税の税額も変わります。物件価格が高ければ高いほど、印紙税も高くなる仕組みです。
不動産取得税はその名のとおり、不動産を取得したことで発生する税金です。購入したアパートの土地と建物に課税されます。課税標準額が高ければ高いほど支払う税金も高くなります。課税標準額と売買代金はイコールではないので絶対ではありませんが、購入する物件が高額になればなるほど、不動産取得税も高くなる仕組みです。
まとめ
購入する物件や課税標準額によって諸費用の金額も異なりますが、一般的には売買代金の4~8%くらいは自己資金として準備しておくと良いでしょう。
不動産自体が高額なので、そこに付随する諸経費も意外と高くなります。知らずに契約すると後々資金繰りに困り大変な思いをすることがあるので、アパート購入時は、売買代金意外にも諸経費も含めてシミュレーションしてください。
それでは本日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など