不動産コンサルタントの高野です。アパートの空室が多くなると、家賃収入も増えて、銀行への返済も大変でなんとか解消したいと思いますよね。そんなときに、「手っ取り早く入居率を上げる方法はないかな」と考える人もいるのではないでしょうか。そこで今日は空室対策に有効な手段である「ペット可物件への変更」について解説したいと思います。
ペット可物件とは
ペット可物件はペットを飼育する入居者にとっては非常に希少です。そのためペット可物件にするだけで急に入居率がよくなった、ということも珍しくありません。ペット可物件と一言に言っても色々です。まずはペット可物件とはどんな物件か紹介しましょう。
ペットの種類
まず「ペット」と言っても動物の種類は様々です。大型もいれば小型もいます。賃貸物件におけるペットというのは、犬や猫、それから小鳥やハムスターなどの動物を指すのが一般的です。小鳥の種類も様々で、鳴き声がとてつもなく大きい鳥もいます。それから、まれにですが蛇などの特殊な動物をペットとして飼育したいという入居者もいます。ペット可にする場合はどのような動物をOKにするのかをしっかり取り決めましょう。
ペット可物件にする流れ
物件をペット可にする場合は、まずは既存の入居者にアンケートをとります。特に義務ということではありませんが、注意したいポイントです。最初からペット可物件として入居していたのなら構いませんが、ペット不可物件だと思って入居していた人にとって、ペット可にされることは必ずしも喜ばしいことではありません。例えば、ペットの鳴き声や匂いに嫌悪感を持つ人もいますし、それに中にはアレルギーを 持っている人だっているのです。そのような人たちへの配慮をせずに勝手にペット可にしてしまうと、クレームが発生するだけでなく、入居者が減ってしまうリスクも高まります。
ペット可物件、メリット・デメリット
ペット可にすることはメリットもありますがデメリットも多く存在します。一度ペット可にしてしまうとその後にまたペット不可物件にするのは難しいものです。そのため、切り替えるタイミングで、ペット可にするにはどのようなメリットとデメリットがあるのかを想定するのが重要です。
(メリット)入居が決まりやすくなる
ペット可にすることの最大のメリットは入居が決まりやすくなることです。ペットが飼育できる物件自体少ないので、それだけでペットを飼っている人から選ばれやすい物件になります。築年数やエリアなど、同じ条件で迷っている時に「ペット可だから」ということで選ばれることは珍しくありません。
それから、今はまだペットは飼っていないけれどこれから飼ってみたい、その際に引越しをするのは面倒だと思っている人も一定数いるので、そのようなニーズもキャッチできるのがメリットです。
(デメリット)建物に傷、臭いが発生する可能性も
ペットの種類や飼い主のしつけにもよるのですが、ペット可にすると場合によっては室内が損傷したり臭いが付着する可能性があります。たとえば、犬の引っ掻き傷、猫のおしっこなど、ひどい場合は傷や臭いが取れず退去後に大規模なリフォーム工事をしなくてはならないこともあります。工事費用が膨らむと入居者が支払いを拒むケースもあり、解約時にもめるトラブルも想定できます。
またペットの鳴き声が他の入居者とのトラブルになることもあります。鳴き声、臭いに嫌悪感がでて、それを理由として他の入居者が退去してしまうこともあります。そうなるとせっかく入居促進のためにペット可にしたのに本末転倒になってしまいます。
ペット可物件に変更する際の注意点
ペット可にすることは入居が決まりやすくなるなどメリットもありますが、デメリットもあります。最悪の場合は、ペット可にしたことで他の入居者が退去して物件そのものが損傷したり、物件イメージが崩れるリスクもあります。ここではペット可物件にする際の注意点を解説します。
他の入居者への配慮
ペット可に切り替える際、一番重要視して欲しいのは「既存入居者への配慮」です。すでに説明したように、ペット可になることを他の入居全員が望んでいるわけではありません。ペットが嫌いな入居者もいるし、アレルギーを持っている入居者もいるかもしれません。そのような人への配慮をしないと、結果的にクレームになったり余計な退去者をだしてしまうリスクがあります。
そのため、ペット可にする場合はまずは既存入居者へアンケートを取って「ペット可にすることへの同意」をとることをおすすめします。
入居時にしっかりと契約を
ペットを飼育されたあと、室内を損傷や臭いの被害から守るためには、入居時に適切な契約を締結することです。できれば賃貸借契約書とは別に、ペット飼育の際の覚書を締結しておくとよいでしょう。
そうすることで、もしもペットを飼育していることで損害やトラブルが発生した場合は、契約通りに入居者に損害賠償を請求できます。
それから入居時に「どのようなペット」を「何匹」飼育するのか写真でも残しておきましょう。そうすることで、1匹だったはずの猫が気付かぬうちに何十匹にも増えてしまう「猫屋敷化」などの問題も回避することができます。
まとめ
本日は入居率をあげるために有効な手段である「ペット可物件への切り替え」について解説しました。ペット可にすることは入居率が上がるだけでなく、既存の入居者の満足度が上がる可能性もあります。そうなることで新規入居を促し、退去者を減らすことの手助けになるでしょう。
ただし、他の入居者への配慮や、ペットを飼育する際の契約をしっかり締結しておかないと、思わぬ損害を被る可能性もあるので十分注意が必要です。
アパートの入居率で悩み、ペット可物件への切り替えを検討している方は、まずは管理会社に一度相談してみるとよいでしょう。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など