不動産コンサルタントの高野です。
空室でお悩みに大家さんの中には、「一生懸命空室対策やってみたけど改善しなかった」と思った成果が出ずに苦しんでいるという人もいるのではないでしょうか。
実際に、空室対策は一緒に取り組む管理会社のやり方や、その地域の市場によって大きく変わってきます。そのため、どれだけ頑張って空室対策をしても成果が出ない人も一定数いるのも現実でしょう。
本日は空室対策以外で、現状を打破するための方法を2つ解説していきます。
空室対策以外の方法①:売却する
空室問題に対処する手段として、物件の売却を検討することは、賃貸経営から一歩退いて、資産の最適な活用を考える上で重要な選択肢の一つです。
売却によって、賃貸経営のリスクから解放され、得られる資金を他の投資や事業に再投資することが可能になります。しかし、売却を成功させるためには、適切なタイミングや方法を見極めることが非常に重要です。ここでは、物件を売却する際の戦略的な考え方、売却のタイミング、資産価値を高めるための改修、不動産市場での売却戦略について解説していきます。
売却のタイミング
不動産の売却において、最も重要な要素の一つが「タイミング」です。
市場の状況、経済環境、不動産のライフサイクルなど、様々な要因を総合的に分析する必要があります。市場が上昇傾向にある時期に売却することで、より高い価格での取引が期待できます。また、自身の資金計画や将来の投資計画との兼ね合いも考慮する必要があります。
不動産には市況がありますので、市況がいいときに売却するのが理想的です。では、市況がいいのか、それとも悪いのかをどのように判断するのかという問題があります。
これについては色々な判断材料がありますが、私がよく利用するのは「行政が出している具体的なデータ」です。例えば、国や地方公共団体が出している地価や人口の推移に関するデータです。
資産価値を高めるための改修
売却前に物件の資産価値を最大化するためには、適切な改修が有効です。見た目の改善だけでなく、機能的なアップグレードを行うことで、物件の魅力を高め、より多くの買い手からの関心を引き出すことが可能になります。改修のポイントとしては、コストパフォーマンスを考えた上で、市場の需要に合った改善を行うことが重要です。
一点注意点として、借主のニーズにあってない設備交換や改修工事はしないようにしてください。ニーズに合ってないのに早まって費用をかけて改修工事をしてしまうと、入居者がつかず空室期間が長くなり、結果的に売却にくくなる、という事態も考えられます。
不動産市場での売却戦略
物件を売却する際には、不動産市場の動向を理解し、効果的な売却戦略を立てることが不可欠です。
これには、適切な販売方法の選定、ターゲットとなる買い手層の特定、競合物件との比較分析などが含まれます。また、売却活動を支援する不動産仲介業者の選定も、成功の鍵を握りますので慎重に。
物件を市場に出す際には、潜在的な買い手にとって最大の魅力をどのように提示するかが重要です。そのためには、効果的な広告戦略をはじめ、買い手の関心を引き価値を正しく理解してもらうための方法には様々あります。要するに、その物件を魅力に感じ誰が一番高く購入してくれるのか、ということを追求するのです。
不動産市場での売却戦略を立てる際には、ターゲットとなる買い手層のニーズを深く理解し、それに合わせて物件のプレゼンテーションを行うことが重要です。また、市場の動向に敏感であり、柔軟に戦略を調整できる能力も求められます。
不動産を売却する決断は、多くの要因を考慮し、慎重に行う必要があります。売却は賃貸経営の終わりを意味するかもしれませんが、同時に新たな投資機会への扉を開くことも意味します。資産の価値を最大限に引き出し、自身の資金計画や将来の目標に合わせた最適な売却戦略を立てることが、成功への鍵となります。
空室対策以外の方法②:建て直し
物件の売却だけが、空室問題に対する唯一の解決策ではありません。時には、物件を建て直すことが、より価値のある長期的な投資となる場合があります。
建て直しは、物件の機能性を向上させ、新たな市場ニーズに応えることで、賃貸市場における競争力を高める機会を提供します。ここでは、建て直しのメリットとデメリット、建築規制と許可の取得プロセス、費用対効果の分析について解説します。
建て直しのメリットとデメリット
建て直しには、物件の価値を大幅に高める潜在力がありますが、それにはリスクやデメリットも伴います。
メリットとしては、最新の建築基準に基づいた設計によるエネルギー効率の向上や、入居者のニーズに合わせた柔軟な間取りの実現、もう少し広い見方をすれば周辺地域の再開発に伴う価値上昇などが挙げられます。したがって、環境にもよい、かつ入居者からも喜ばれ高い入居率を維持できる可能性があります。
一方デメリットとしては、建て直しに伴う高額な投資費用、建設期間中の収益機会の喪失、建築規制による制約などが考えられます。
建て直しには、解体工事費用や建設費用など最低でも数千万円の資金が必要になります。また、今住んでいる入居者には退去してもらわないと建物を解体できないので、立ち退き費用も必要です。
建築規制と許可の取得プロセス
建て直しを行う上で、地域の建築規制や法律を理解し、必要な許可を事前に取得することは当然ながら非常に重要です。よくあるのが、不動産会社が建て直しを提案して予算や規模感などを見積って計画を進めていったのに、いざ具体計画段階に入ると、今の法律に適合していないシミューレションで想定していた建物が建たなかった、ということがあります。
建築規制には、建物の高さ、敷地利用の制限、安全基準など、多岐にわたる要素が含まれます。また、環境への影響評価や地域コミュニティとの調整が必要となるケースもあります。
規制と許可の取得プロセスをしっかり確認したうえで、建て直しは計画していきましょう。
費用対効果の分析
建て直しプロジェクトの計画段階で最も重要なのが、費用対効果の分析です。
この分析により、投資の回収期間、収益性の見込み、リスクの評価が可能になります。建て直しにかかる費用は、設計、建設、許可取得、現入居者への立ち退き料など、多岐にわたります。これらの費用と、建て直しによって期待される賃貸収入や物件価値の上昇を比較することで、プロジェクトを実行する価値を適正に評価することができます。
賃貸物件の建て替えはあくまでも事業です。事業がうまくいくかどうかの判断は事業にしである大家さんがしなくてはなりません。
建築会社や不動産会社など、建て替えに関係する各会社は、基本的に建て替えを推奨してきます。もちろん仕事になるからです。
関係者のプッシュに惑わされることなく、客観的な分析を行った上で、費用対効果があるのかどうかを冷静に分析しましょう。
まとめ
今日のブログでは空室の悩みがある方に向けて、「空室対策以外の方法」を解説しました。
売却も建て替えも、どちらも大きなお金が動くことは間違いありません。判断を間違えると、数百万円、数千万円といった大損失が発生する可能性もあります。
判断は慎重に。もしも判断に自信がない方は、不動産会社でも建築会社でもない、中立的な立場でアドバイスを行う「不動産コンサルタント」への相談を検討してみてください。
第三者からの立場として客観的に作成するレポートを見ると、思っていた方向とは違う方に進んでいける可能性もあります。
弊社でも空室対策をはじめ賃貸経営のご相談は承っています。
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株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など