不動産コンサルタントの高野です。
不動産屋さんの繁忙期も佳境を迎えてきました。同時に、空室に悩んでいる不動産大家さんにとっては、もっとも緊張感のある時期、とも言えるのではないでしょうか。
いつも仲良くさせてもらっている私の知り合いの大家さんと今日電話したのですが、あと2部屋が3月中に決まるかどうか気が気じゃない!と言っていましたね。
さて、とにかく今は繁忙期真っ最中です。不動産会社さんには徹底的に頑張ってもらって、残りの期間でなんとしても満室に仕上げましょう。
私は不動産投資顧問といって、大家さん・不動産投資家さんのサポートをする仕事を生業としています。
その中に「空室対策サポート」というものも存在します。
その中でも、多くの大家さんや管理会社さんがやっていない具体的な方法がいくつかありますので、今日はその一つを紹介したいと思います。
でもこれをやると、ぐーっと入居率が高まりますし、肌感覚ですが退去数も減ると思います。
今日紹介する方法、それは「入居者(ターゲット)の絞り込み」というものです。
つまり、その部屋に住んでくれる人がどんな人なのか?ということをできる限り具体的に設定する、というものになります。
たとえば6畳1Kのアパートがあります。その部屋に住むのって当然「単身者」ですよね。
でも今日お話ししているターゲットというのは、「単身者」という単なる入居世帯の種類のことではなくて、さらに解像度を上げていく作業のことです。
「単身者」からさらに細かく考えて「年齢層」「性別」「年収」など細かく深掘りしていくわけです。
どうしてそんな作業をする必要があるのか?というと、解像度を上げてターゲットを設定していくことで、そのターゲットに向けた具体的な空室対策や効果的なキャンペーンが実施できるようになるからです。
これは意外と多くの大家さんはやってないですし、管理会社も正直そこまで手が回っていないことがほとんどです。
実際に1ヶ月くらい前に、ある大家さんの物件の空室対策を一緒に実施して、ターゲットの絞り込みを徹底的に行ってうまくいった事例があるので紹介します。
そのアパートでターゲット設定を行った結果、どうやらこの物件に適している(ターゲットにするべき)入居者の属性は「独身20代の女性、近くの大学病院に勤務している年収400万円台の看護師さん」ということがわかりました。
そこで大学病院の近くの不動産屋さんを端から端まで回って行って「〇〇大学病院の看護師さん限定キャンペーン、〇〇月までの入居申込に限り、15万円相当の電動自転車をプレゼント」というチラシを大量に配ってきました。
その結果、見事にこの作戦があたって、上記の想定に非常に近しい入居者の方が1ヶ月もかからず成約となりました。
ではどうやって、そのターゲットを絞り込むことができるのか。これは実は意外と簡単です。(新築物件を保有している人には向きませんが、築年数がそれなりに経過している物件を保有している人については有効な手段です。)
いくつか方法はありますが、一番手っ取り早く具体的な方法として「今の他の入居者、それから過去に入居していた入居者」この人たちの属性を徹底的に調査することです。
そうすると、どんな物件でも入居している人の属性というのは必ず傾向が見えてきます。男性が多いのか、女性が多いのか。何歳くらいの人が多いのか、などです。
ちなみに先ほどの実例でなぜ自転車をプレゼントしたのか、ということですが、その大学病院と物件は近いには近いですが車で行くにはちょっと近すぎる、かといって歩くのには少し距離がある。そのような距離関係がありました。
さらに、場所柄皆さんマイカーを保有しているものの、近いところは自転車で行く人も多い(これはその物件の駐輪場の利用台数を確認したので分かりました)ことも分かりましたので自転車の需要もあると思いました。
それに健康志向の若い世代の方で自転車通勤を希望する人というのは意外と多いのからです。
このように入居者像をかなり具体的に絞ることで、よりその入居者に喜ばれて効果のあるキャンペーンを行うことができます。
無駄にたくさん募集費用を払うのであれば、同じ金額を入居者さんが喜ぶキャンペーンにした方が効果があると思いませんか?それにこのようにしっかりとターゲットを絞ることで、入居者にとっては住み心地がいい物件になりますので入居期間も長期化すると思います。
たとえば先ほどの例でいれば、少し手狭になってきた、もしくは気分転換に引越しでもしようかな〜というのが入居者さんの頭をよぎったとしても「勤務先の病院も近いし、電動自転車もあるし、防犯もしっかりしている物件だから、まぁ…まだいっか!」となる可能性も十分にあるわけです。
ADをたくさん払ってFRも多くつけてるのに入居が決まらないなぁ、と悩んでいる方にはぜひおすすめの方法ですので、一度トライしてみていただければと思います。
以上、本日はここまで。
今日もご覧いただきありがとうございました。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など