不動産コンサルタントの髙野です。
当社は不動産投資顧問という仕事をしていますので、不動産投資家さん、賃貸経営オーナーさん向けの業務がほとんどです。
管理会社から実施している原状回復工事のチェックもするのですが、これがとにかく高いです。
本当に高い。高すぎます。
やらなくてもいい工事ばっかりすると、儲かるのは管理会社だけでオーナーさんはどんどんお金がなくなってしまいます。
なので今日は原状回復工事費用の削減について解説したいと思います。
管理会社の見積もりはなぜ高いのか?
もはや確認するまでもなく高いんです。
ではなぜ高いのか?金額が高くなってしまう構造を考えます。
高い理由①管理会社の利益がのっている
一番はこれですね。
管理会社の売上構造って基本的に管理料なんですよ。当然管理物件が増えれば管理料も増えるので売上は上がるのですが、なかなか管理物件の戸数を増やすのも大変。
となると、今あるお客さんにたくさんお金を払ってもらって売上を上げるのが手っ取り早い。
それで出てくるのが原状回復工事費用です。
入退去があれば必ず原状回復工事が発生するので、その都度利益を乗せれば入退去の度に売上が発生する仕組みになります。
会社の方針にもよりますが、大体10~20%くらいは管理会社の利益を乗せてくる業者が多いですね。
高い理由②なんでもかんでもオーナー負担になってる
次にこれ。
そもそも原状回復工事って誰が負担するものだと思いますか?
正確には、「入居者」と「オーナー」両者です。
自然損耗や経年劣化とよばれる、「普通に生活しててもこの程度の汚れとか傷ってできるよね」っていうレベルのものはオーナーさん負担です。
反対に、故意過失、善管注意義務を怠ってできた汚れや傷は入居者負担になります。
「原則的には」です。
実務的な話をすると、入居者はお金を払いたがりません。
退去に立ち会った管理会社からしたって、入居者と揉めて工事が長引いてしまうと、次の入居募集も遅れるし、そもそも工事が遅れると売上も上がらない。
それに正直言うと、一年間に何十物件も退去の立ち会いをしていて、毎回毎回もめるのってかなり面倒くさいんですよね。
するとどうなるか。
「とりあえずオーナーさん負担」これが現状です。
入居者ともめたくない管理会社の担当者が、とりあえず何でもかんでもオーナーさんにしてくるケースが非常に多いのが現実です。
ひどい会社になると、明らかにグーパンチしてできた穴なのに、「地震でできた穴」ということでオーナーさん負担にしようとしてた例もありました。
高い理由③管理会社の担当者自体も詳しくない
意外と多いのがこのパターン。
どういうことかというと、管理会社の担当者自身も工事に詳しくなくて、実際に施工する工事業者から出てくる見積りをそのままオーナーさんに送ってくるパターンです。
管理会社だから詳しくて当然、ということは全然ないんです。
意外と不動産会社は色々な業務を兼任しているケースが多いです。
そんなに大きくない会社だと、例えばお部屋探しの営業がメインなんだけど、退去が発生した場合は工事の見積り書も作る、ということが割と普通にあります。
そうすると、普段は工事の見積りをとることが少ないので、工事項目の単価について全然知らない営業マンもたくさんいます。
営業マン自身よくわかっていないので、必要以上に高すぎる原状回復工事の見積りをオーナーさんに悪気なく提案してしまってる、といった現象が起きます。
ではどうしたら金額を下げることができるのか?
これについては次回またブログで書いてみたいと思います。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など