不動産コンサルタントの髙野です。
不動産業界にいると、よく同じ業界の人から「情報交換しませんか」とか「一度ご挨拶に行きます」と誘われます。仕入れ営業をしている人は特に傾向が強く、仲介会社などへ行く約束を取り付ける際に、「情報交換しませんか?」を使うのではないでしょうか。それ以外でも不動産業界では「訪問して情報交換またはご挨拶」というスタイルが定番化している気がします。
私は不動産業界以外で働いたことがないので、他業界のことはほとんど分かりませんが、他業界ってどうなんでしょう。これは私の個人的なイメージですけど、ここまで情報交換という名目で業者同士が会って話してる業界って不動産業界以外にあまりないんじゃないかなぁと思ってます。
最近その情報交換についてちょっと思うことと、というか考えが変わった部分があるのでちょっと書いてみたいと思います。※すみません、今日は不動産の話ではないです。
私はどちらかというと仕事に効率や生産性を求めるタイプで、極力無駄なことはしたくないと考えます。時間がもったいない、と常日頃考えていて、仕事となると割とせっかちな部分もあると思います。そのため、不動産業界のこの「情報交換しませんか」という慣習みたいのが、実は今まで猛烈に苦手でした。だって、会って「最近どうですか?物件ありますか?」って話したところで、そんなのメールかチャットでやり取りすれば情報は伝え合えるし、そもそも訪問する時間自体が恐ろしく無駄に感じます。仮ですけど、訪問先の不動産会社が同じビルとかであれば、「散歩がてら違う階にちょっと顔出しに行くか」ともなりますが、わざわざ電車を乗り継ぎ、数十分、下手したら1時間くらいかけて出かけていき、お茶を飲みながら1時間話して帰ってくるって、どんだけ効率悪いんだ…と今までずっと思ってました。
そのため、これまで私はできるだけ自分からは情報交換の誘いをすることなくやってきました。誘われた場合は、割と関係性の深い間柄の人としか会わないようにしてました。DMで「一度情報交換に…」という連絡をもらうことが時々ありますが、申し訳ないですがほぼスルーしてきました。
ですが最近になって「いや、この情報交換って実は意外と意味あるんじゃないか」と思うようになってきたんです。というのも先日お客様から不動産売却の相談をいただいて、なかなかの癖アリ物件だったこともあり「不動産会社に買い取ってもらいましょう」ということで売主さんとは話がまとまりました。それで、「どの業者さんに連絡しようかな」と考えたときに何人かの不動産業者さんが私の頭の中に浮かび、その業者さん数人に連絡しました。結果その中で最も高くいい条件で買ってくれる先と今交渉している段階です。このときにふと気がついたのですが、自分が連絡をした不動産業者というのは割とよく来る業者だったのです。面談回数が多い、要は私にとって「接触回数が多い人」を物件紹介先として無意識に選んでいたみたいです。(もちろん売主さんの利益が一番優先なので、「いい条件で高く早く買ってくれそうな業者」という最初のフィルターは通した上でですが。)
私は紹介で不動産のご相談をもらうことが多いのですが、「髙野さんのこと思い出してね」と電話をくださる方がいます。やはり接触回数というのはある程度関係してくるのかなと思い始めました。
色々考えていくと、不動産業界では昔から染み付いている「情報交換」という作業も、実は仕事を円滑に回していくための一つの大事な工程なのかもしれないな、と思い始めています。
とはいえ間違えちゃいけないのは、「なんでもかんでも会えばいいわけではない」こと。「会ってもらう」ことは、確実に相手の時間を奪うことです。時間は有限であって最も大切な資源だと思います。その資源を自分に使ってもらっているのであれば、絶対相手に損させちゃいけない。1時間面談するのなら、1時間分の価値を、むしろそれ以上の価値を提供しなくてはいけませんよね。でないと、単なる時間泥棒になってしまう。このように思います。
そんなことで「情報交換は意外と大事だな」と思い始めたので、これからは今までよりも多少積極的に色々なところに顔を出してみたいと思ってます。その際には、必ず上記の「時間をもらってりう相手に価値を提供する」ということを念頭に置いて、良い情報をお互いに交換していきたいなと考えています。
余談ですが、先日突然ある不動産会社の社長さんのことを思い出しました。その人はもう個人的に何度も食事に行ったり飲みに行かせてもらっている人で、不動産業界としても経営者としても大先輩であり、とても尊敬し慕っている人です。ふと「最近お会いしてないな、ちょっと連絡してみようかな~」と思ってました。でもその日は非常に作業が詰まっていて、結局連絡できずで1日が終わってしまいました。翌日そのことはすっかり忘れて仕事に没頭していると、夕方頃「ご無沙汰です。髙野さん元気?飲みにいきませんか」というお誘いのLINEをいただいたのです。自分が思い出して誘おうとした翌日にまさか連絡をもらえるとは。想いが繋がるとはまさにこのことで、こんなことってあるんだなって思いましたね。今日前半で書いていた「情報交換」の話もそうで、大事なのは「相手に忘れられないように会う」「思い出してもらえる間柄をキープする」ということなのかもしれません。
思い出したら連絡してみる、というのも意外と悪くないのかも。案外相手も「そろそろ連絡してみるか」と思ってる頃かもしれませんので。ということで、まさに私のことをたまたま思い出して今日のブログを読んでくれたという知り合いの人は、ぜひメールやLINEで連絡してもらえればと思います。情報交換させてください。
それでは本日はここまで。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など