不動産コンサルタントの高野です。
中古の物件を運用していると、必ずどこかのタイミングで「大規模修繕」のことを考えるときがきます。大規模修繕とは、入退去時の原状回復工事や、室内の設備交換のことではなく、屋上防水工事、外壁塗装、エレベーター交換などが該当します。細かな工事と違って、一度に数百万円、規模によっては数千万円という非常に大きなお金が発生するのが特徴的です。
さて、不動産投資家の中にはこの大規模修繕に悩んでる人も少なくありません。やはり一度に数百万円から数千万円のお金が出ていくのは非常に厳しいです。
できる限り物件を購入するタイミングで修繕シミュレーションしておくといいと思います。何年後にどのくらいの費用が発生するかあらかじめ予算が組めるからです。
とはいえ、多くの不動産投資家さんは大規模修繕工事のシミュレーションをせずに購入してしまっているのも事実です。
その場合は少しでも安くなるように努力するしかありません。
まず、大規模修繕工事を実施するポイントは「建物の状態」と「前回の大規模修繕時からの経過年数」で判断します。
たとえば、防水対策で行う屋上のトップコートについては、理想は5年に1度くらいです。ただ、雨が多いエリアや、海が近くて塩害の影響を受けやすいエリアは周期が早まるかもしれません。その場合は、実際に床面の様子を見て、対応が必要かどうか確認することになります。もちろん、すでに雨漏りが発生している、という状態なのであれば一刻も早く修繕手配をかけないと入居者からのクレームが発生する可能性が高まります。
工事の期間は、通常の一棟マンションやアパートであれば、1~3ヶ月をみておきます。ただ、梅雨で雨が多くて作業が進まないなどありますので、プラス1ヶ月程度を想定しておきましょう。たとえば、鉄骨造の6階建、全部で25部屋前後の建物であれば、屋上防水と外壁塗装で2~3ヶ月程度が標準期間となります。費用は建物の規模によって全く異なります。ただ、上記物件であれば1,500万円程度は見込んでおきたいところです。
費用の支払いは、一括で支払う場合もあれば、着工時、中間時、竣工時と3回に分けて支払うケースもあります。このあたりは工事を実施する業者と話し合いで進めていきましょう。
また、できるだけ費用を安くするコツとして、複数社の見積りをとることです。会社によって見積りの出し方や単価も大きく異なります。大手の会社だから安い、という特別な傾向があるわけでもないので、必ず複数社探して相見積もりを取るのが基本です。自分で業者を探すのが困難、という人は手っ取り早いのが管理会社から紹介してもらうことです。ただし、その場合は管理会社の紹介料がプラスされた形で見積りが発生するケースもあるので注意してください。
いずれにしても不動産の大規模修繕工事は金額も大きく、それから内容が不十分だと入居者に迷惑がかかったり、売却時に売りにくくなったりすることがあります。賃貸経営業において非常に重要なイベントであることは間違いありません。大規模修繕するべきか、もしくはもっと安くならないかな、とお悩みの人は一度専門家へ相談するのも得策でしょう。
それでは本日はここまで。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など