不動産コンサルタントの高野です。
不動産投資には様々なリスクがつきものです。それらのリスクをしっかり把握した上でリターンを想定し物件を購入して運用する、それができれば不動産投資は失敗しません。
では現実的な話、不動産投資家のうち、物件を買う際に、どのくらい人がリスクの想定しているでしょうか?
不動産投資のリスクは種類が非常に多く、空室リスク、修繕リスク、金利上昇リスク…まだまだ他にもたくさんあります。
今空室が多いから空室リスクが高い、建物が古くなってきたから修繕リスクが高い、こういったことは非常に表面的な話です。
多くの人が見落としがちなリスクに「流動性リスク」があります。不動産投資における流動性リスクとは、不動産というのは株式や暗号通貨と違って取引所がない相対取引なので、売りたいときにすぐには現金に変えられない、要するに換金性が低いよ、という内容のリスクです。
でも不動産投資で失敗しないためには、実はこの流動性リスクをもう少し具体的に考えなくてはなりません。
私がお客様によく言うのは、「物件は買うときでなく売却する際のイメージが大事です。特に、次の購入者のことを具体的に考えましょう」ということです。不動産投資は投資ですから、どこかで売却する機会が訪れます。その際にいくらで売却できる物件なのか、という出口を見据えることが重要です。
そこで大事なのが売却する際に購入検討する次の不動産投資家の立場と状況です。たとえば、耐用年数が残り少ない物件を、高利回りだからという理由で購入するとします。数年運用してから売却しようとしたときには、すでに耐用年数が切れていることもあるでしょう。そうすると、売りに出しても次の購入者がが融資付けに苦戦して物件を購入できないケースもあります。つまり、どんなに条件が良くても投資家にとって購入しにくい物件、になってる可能性があるのです。基本的に金融機関は耐用年数をベースに融資期間を決めるからこのようなことが起こります。
それから土地値もそうです。土地値も変動しますので、過疎化が進んで人口が減っているエリアの物件を買うと、10年後には購入時よりも何割か土地値が目減りしていることもあります。当然物件の売却額もその分下がってしまいます。だからこそ、購入するエリアの不動産価値の想定というのも不動産投資では非常に重要になるわけです。
とはいえ物件を探しているときには、つい目先の利回りや価格に踊らされがちです。そのため物件売却時のことまで具体的にシミュレーションできていない不動産投資家が非常に多いと思います。
これこそが不動産投資における本当の流動性リスクだと私は考えます。
物件を購入する際は、必ず売却するときのことを想定し、数年後の価格の想定と、購入検討するであろう投資家のことを考えて融資が受けられる物件なのかどうかまで具体的にイメージすることをおすすめします。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など