不動産コンサルタントの高野です。
不動産投資の種類はたくさんありますが、私が特に注意して欲しい、基本的におすすめしていない不動産投資が「サブリース付きワンルームマンション投資」です。
知らない人のために説明をすると、ワンルームマンションを購入して、そこに入居者を入れて家賃収入を得る、そういった仕組みの投資です。
そしてサブリースとは転貸のことで、不動産業者が物件を所有者から借りて、それを実際に住む入居者に貸し出すという仕組みです。
所有者←(賃貸借契約)→不動産業者←(賃貸借契約)→入居者
こんな構造ですね。
この投資のメリットは、物件価格が小さいので自己資金が少ない方、年収が少ない方でも投資を始めやすいことです。
裏を返せば、不動産投資初心者の方でも投資しやすい。
だからこそ、悪質な不動産業者のいいカモになってしまうことが多いのです。
この「サブリース付きワンルームマンション投資」は不動産業者ばかりが儲かって、投資家さんにはほとんどメリットがない、それどころかリスクが高いことが非常に多いです。今日はその辺りの解説をします。
このサブリース式のワンルームマンション投資の何が問題なのか、いくつかあります。
1つ目、「受け取れる家賃が少なくなってしまう」まずはこれです。
所有者は不動産会社に貸して、不動産会社が相場家賃で実際の入居者に貸します。
このとき、不動産業者は所有者からは相場家賃の8割くらいで借りるケースが多いです。2割は不動産業者の儲けになります。
つまり所有者が受け取れる家賃は相場賃料の8割程度になります。
2つ目、「売るときに物件の価格が安くなってしまう可能性が高い」
不動産、特に収益物件は収益還元法という手法をベースに価格を決定していきます。
そのため、どのくらい家賃が入る物件か、というのが価格査定において非常に重要になります。
サブリースの賃料は相場賃料の8割くらいになるため、売却価格も下がってしまうのです。
それならば一回解約して新たに入居者を見つけて相場家賃で直接契約したらいいのか?というと、
それが3つ目の問題、「解約できないケースが多い」です。
なぜ解約できないのかというと、不動産の賃貸では「貸主」と「借主」では圧倒的に「借主」の立場が強いからです。
これは借地借家法で借主が守られているからで、貸主から「賃貸借契約を解約したい」と言っても認められないことが多いのです。
もしも貸主から突然「出て行け」と言われてしまうと借主はたまったものではありません。住む家がなくなってしまうので。
やっかいなことに、この「借主が守られる」という考えは、実際に住んでいないサブリース会社にも適用されてしまうのです。
そのため、物件を売却しようと思って解約したくても、基本的にサブリース契約は解約できません。
良心的な不動産業者は「家賃の〜〜ヶ月分払えば解約OKです」と交渉に応じてくれます。
しかし、悪質なところだと全く解約に応じてくれないケースもあります。
つまり、悪質な不動産業者から物件を買ってサブリース契約を結んでしまうと、家賃は相場の8割しか受け取れず、解約もできず、相場よりも安い価格で売却をする、つまり持ち出しや自己資金を入れて売却せざるを得ない状況に陥りやすいのです。
このケースは非常に多く、弊社でも数多くいただく相談内容の一つです。
先日ご相談を受けた方は、マンションを買う時に営業マンから「売却の際はサブリースは解約できますよ!」と口頭で伝えられ、契約書にも「1ヶ月前に意思表示すれば解約可能」と買いてあるにも関わらず、「借地借家法で守られているので解約できない、裁判するしかないね」と強気に言われたようです。
本当に悪質な不動産業者です。
このようにあまりにも悪質な不動産業者にあたってしまった場合は、その不動産会社のある都道府県の役所の不動産関連窓口に相談にいきましょう。
悪質な場合は、役所の調査が入って行政処分を与えられる場合もあります。
もしも今物件購入を迷っていて、不動産業者に少しでも不信感を感じている方は、慎重に検討してから契約してください。
ちなみに、これまで不動産関連で問題を起こして行政処分を受けたことのある不動産業者は下記のサイトで検索できます。
取引をしてしまう前に一度チェックしてみるのがおすすめです。
「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」というサイトで、国交省管轄です。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など