不動産コンサルタントの高野です。
賃貸経営をしている人の中には、空室が多くて苦しんでいる方も少なくありません。
弊社にも、空室で悩むオーナーさんからの相談は非常に多いです。
空室が多いデメリットは多くありますが、賃料収入が少なくなり、ローン返済が苦しくなったり、修繕費用が払えなくなったりすることです。
それから、空室が多い物件は売却しにくくなります。収益物件を購入する人というのは、通常は不動産投資家ですが、わざわざ空室が多い物件を買いたいと思う人はいませんよね。
それなら物件を売却するときまでに満室にすればいいのでは?と思う人もいるかもしれませんが、そもそも空室が多い物件を満室にするのは簡単ではありませんので、売却しようと思ったからといってすぐに満室にはできません。
それから、その物件が過去にどのくらい空室があったかは今は簡単に調べることができます。
一時的に満室にできたとしても、過去の稼働状況を調べられると、すぐにばれてしまいます。
ですので、賃貸経営において空室というのは天敵です。
常時、稼働状況をその地域の相場よりも高い水準に保っておくことが重要です。
それでは空室対策はどうしたらいいのかという話です。
小手先の技術は色々あります。
ただし、物件が空室になっている理由は個別に違いますので、個別の原因を見つけて対処していくしかありません。
空室で悩んでいる不動産投資家の方で非常に多いのが、「物件の反響状況を把握していない」という状況に陥っている方です。
空室相談を受けたとき、私がほぼ確実にオーナーさんに問いかける内容として、
「1週間、それから1ヶ月にどの程度反響があって、うち成約になるのは何件ですか?」
それから
「反響はどのような媒体からきましたか?」
あと、内見後成約にならなかった場合は、
「他決されてしまった原因はなんですか?どこが気に入ってもらえなかったのですか?」
ということも聞きます。
このような質問を投げかけると、驚くべきことに、ほとんどのオーナーさんが具体的に回答できません。
ほとんどが、
「管理会社は頑張ってくれているのだけど…」
とか
「家賃が相場より高いと言われているからそれが原因だと…」
という曖昧な返答になってしまいます。
そもそも反響がどのくらいきているのかを把握しないことには、打つ手がきまりません。
反響が相場に比べて多いのなら、物件が汚い、とか、営業マンのクロージングが弱いとか、そういった理由が見えてきて打つ手が決まってきます。
反対に反響自体が少ないのであれば、そもそも条件が相場と乖離していて検索に引っかかっていないとか、管理会社の集客方法に問題がある、といった原因が考えれるのです。
反響数等のそもそもの数値がはっきりしないことには、上記のような「成約にならない理由」を見つけることができず、対策しようがないのです。
その結果、よく調べもせずに闇雲に家賃を下げたり、必要のない設備投資をしてしまったりします。
空室対策の第一歩は、空室原因を知るということです。
現状を理解していないオーナーさんに私がすすめる方法の第一歩としては、管理会社に客付状況の報告として「週間報告書」と「月間報告書」を提出してもらうことです。
この報告書には、その期間内で、何件反響があり、そのうち何件内見まで進み、何件成約になったのかを記載してもらいます。そして、反響の中でも、自社ホームページなのか、suumo等のポータルサイトなのかの違いがありますので、そこも明確にします。
こういった週間報告書や月間報告書を通じて、物件ごとの打つ手を決めていくのです。
もし空室で多くて悩んでいて、このような報告書が管理会社から提出されていないという方は、大変危険です。
すぐに管理会社へ連絡して、週間報告書と月間報告書を定期的に送付してもらうようにしましょう。
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役 / 不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、物流施設に特化したファンドのAM事業部マネージャーとして従事。 現在は(株)高野不動産コンサルティングを設立し、投資家や事業法人に対しての不動産コンサルティングを行う。 / 保有資格 ・公認 不動産コンサルティングマスター ・相続対策専門士 ・宅地建物取引士 ・賃貸不動産経営管理士 など